第一話 二章

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    縁ちゃんがますます、不思議そうな顔を見せてきた。酒のシメについて、理解の範囲を超えてきたらしい。  聞くと、実際問題として飲酒をしたことが、まったく無いらしく……未成年だから当たり前だが、周囲に酒を飲む人間も、ほぼ皆無らしい。  だからこそ飲酒が大人の近道とか、ステータスに感じたようだ。 「話しに聞いた事はあるけど、何でシメが必要なんですか」  酒をある程度飲む人間には、当たり前のようにして慣例化してる場合もあるが、改めて理由を聞かれると困る質問だ。 「そりゃ、もう酒は飲みませんよって、自分の身体に知らせるためだろ」 「腹を満たして、酒を飲めなくする為じゃないですか」 「昔からの倣わしとか」  5人組は、好き勝手な理由を並べ立てる。  シメ。多分、締め括りから来ているんだろうが、5人組が言っていることを総合したことが、正解なのかもしれない。  それでも縁ちゃんには、理解が難しいようで首を捻って頷いている。  まあ、説明している俺の理解が怪しいのだから仕方ない。 「これだけ話してたら、ラーメン食いたくなってきた。マスター、ここはラーメンやってないの?」 「残念ながら、ラーメンはちょっと」  その気持ちは凄く良く分かる。  
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