第一話 一章 ラーメンライス

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   夏が来ていた。  最近まで常連のお客さんが大変な事になっていたが、解決したと本人からのメールが入ってとりあえず安心した。  長い期間を通じて恋のトラブルを抱える人もいるが、今日来た女の子のお客さんのように、あさっさりとカタのつく場合もある。  そんな場面に立ち合えてお客さんが笑顔で帰って行った時、俺は店が終わってから一人で酒のシメを楽しむ。  今朝は、ラーメンライスにしよう。  俺の店が朝の5時まで営業してるから、その時間に行ける店は限られてくる。  選択肢としては、24時間営業のチェーン店がメインになる。 「ラーメンライスとビールね」 「はい、毎度どうもぉ」  多分、中国人だろう店員の女性は、俺の顔を覚えていて微妙な日本語を駆使する。  24時間営業の店は深夜帯から早朝にかけて、日本語の出来る外国人が勤めている事が多いが、下手な日本人より礼儀正しいこともある。 「はい、お待ちどうさまです。ラーメンライスです」  先に来ていたビールを飲みながら、5分ちょっとで出てきた。  ザ・醤油ラーメンが目の前に置かれ、湯気と共に出汁と醤油の香りが食欲をそそる。  チャーシュー、メンマ、煮玉子、海苔とオーソドックスなトッピングも嬉しい。    
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