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開店準備が滞りなく終わったかは定かでないが、7時開店に間に合った。
開店したからといって、すぐにお客さんが入るのは稀だ。大体は周囲の店で軽く飲んでから来るか、キャバクラに行って女の子を引き連れて、深夜に来るかのパターンが多い。
だから開店して2時間、お客さんが来ない時も少なくはない。
「風見さん、今日も口開けは厳しいっすかね?」
「いいんだよ。そのうち常連の誰かが、晩飯を食いに来るだろ」
「だと、いいっすけどね」
「暇な間にカクテルの勉強や、練習をしたらどうだ」
土井がふて腐れて、カウンターに入ってカクテルブックを開く。下手するとある常連さんの方が、土井より上手かったりするから日々練習をさせている。
土井が急に休んだ時に、その常連さんに手伝ってもらって発覚したので、俺のプライド的にもこいつをもっと出来るように、仕込まなければなるまい。
「風見さん、最近ルミちゃん達、来なくなっちゃいましたね?」
こいつの言うルミちゃんとは、同じビルに入っているキャバクラの女の子。
土井の奴が半年以上前から何度も告白し、そのたび玉砕している相手だ。
「お前が鬱陶しいから来ないんだろ」
「そんなぁ、洒落にならないっすよ」
だが実際にウザイと、彼女自身が言っていた事がある。
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