第一話 一章 ラーメンライス

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   ミャクも無いことだし諦めてくれたら、また来てくれそうな気がする。 「土井。頼むからお前が営業妨害は、しないでくれよな」 「してないですっよ」  最近は土井をからかいながらも、丸氷をアイスピックで削るのが日課だったりもする。  こんな気楽な感じなのも街中のショットバーならではで、有名店やホテルのバーではやはり敷居が高くなるだろう。  そんな所は俺に合わないから、自分で店を出したのだ。  土井のミスで発注もれした、生ビールの樽も届いて準備だけは完璧だった。  しかし、30分過ぎても常連さんはおろか、冷やかしのお客も来ない。 「今日は、2時間かもな」 「えぇ、風見さん。だったら、営業メールやっとくっすか?」 「お前はホストか。いいから練習しろ」  店内に流れるのは、土井の振るシェーカーの音だけだった。  寂しさがより、増していく。  こんな時はお客さんが入ってきても、気まずかったり常連じゃないと帰られてしまう事もある。  その時、一人の若い女の子が扉を開けてオズオズと入ってきた。 「あの、一人なんですけどいいですか?」 「いらっしゃいませ。もちろんですよ。こちらのカウンターの席にどうぞ」  こんな時、特に相手が若い女性の時の第一声は土井の方が1秒ほど早い。  
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