第一話 一章 ラーメンライス

7/14

1159人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
   見た目は22、23歳くらいに見えるが、もしかしたらもっと若いのかもしれない。  顔が小さく、長い黒髪と黒い瞳が印象的な女の子だ。  ショットバー初体験なのは、態度を見ていれば分かる。やたらと、周囲を見回しメニューを見ても、何を注文したらいいか迷っている様子だ。 「いらっしゃいませ。この店は、始めてだよね。誰からの紹介かな?」 「はい、あの、よく、この前の道を通るので、それでいつも気になってて……」  土井が彼女の顔を、直視して目を細めている。それが、営業妨害になるんだって言ってるんだ。  すぐにカウンターの下で足を伸ばし、土井の尻を蹴飛ばして目で注意をする。 「痛てっ。風見さん、彼女さっき表でこっちを見てた女の子っすよ」 「えっ、さっきの……」  開店準備中に、椅子を外に出した時にいた女の子。何となく似てるけど、そこまで良くは見ていなかった。  流石、土井って所なのか。 「お店に行くの迷ってて、遠くから見てたんです」  その話し方や、仕草に違和感を感じる。無理して、大人ぶっているようだ。  そういえば、服装もOL風だけど似合っていないし、初めて着たようにさえ見える。 「お客さん、年齢の確認だけいいかな?」 「えっ、わたし……」 「風見さん、彼女が未成年って言うんっすか? そりゃ、あり得ないっすよ」  おいっ、土井。お前、未成年だったら老けてるって、意味合いで失礼だと分かっていないだろ。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1159人が本棚に入れています
本棚に追加