十夜

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「なっ………!?」 驚いた顔で、勢い良く椅子から立ち上がる神流。 椅子ががたーんと音を立てて倒れる。 回りからは、黄色い歓声。 「なん、で………シュウさんが、ここに………ユニまで………!?」 「王様に向かって指差すとは、従者にあるまじき行為だぞ?神流よ」 「ぇ、あ、すいません………じゃなくって!!質問に応えてくださいっ!」 「応えてって………なぁ?」 「ねー?」 「は………!?」 「「言った通りの意味ですが」」 「だ………だからぁ………っ!」 「それ以上でも以下でもないよなぁ?」 「うん」 「だ、だって!私の所には何の書類も提出されてませんし、そもそもこんな事知りませんでしたよ!?」 怒りと不安と疑問が一緒になったような、なんとも複雑な顔をする神流。 「そりゃ当然。出してないもん。出したらお前絶対反対するし」 「あ、私はシュウに巻き込まれただけだよ?」 「いや、お前めちゃくちゃ楽しそうにしてたじゃん」 「あー、まぁ、初体験なワケだし?こーゆーの」 「あー」 「………!」 神様とユニのゆるゆるな会話についていけない神流。 「な、なんで………!」 「いやぁ、たまにはいいじゃん?こーゆーのも。普段お前らがどんな生活してるかも見てみたいしさぁ」 「そ、そんな理由があるのなら!最初っからそう言ってくだされば、私だって、何かしらの手段を用意したのに………!」 「あらかじめ予定されてちゃあ、いつも通りの日常かどうかなんて、わかるワケないじゃん?今、こうやって抜き打ちで来ても、普段通りの日常を送ってるのかわからないのに」 「し、シュウさんが来てる時点で普段通りじゃありませんっ!////」 なんかもう泣きそうな神流。 そんなに自分の私生活見られるのイヤなのか?コイツ。 「まぁ、ついでに他の奴らの日常も見てみようかと、な?」 「な?って言われてもぉ………!////」 「ほらやっぱり怒られたー」 「なんだよー、ユニだって行く気だったんだからいいだろー」 「私は最初反対してましたー。怒られるからやめようよって言ってまーしーたー」 「結局来てんだから共犯じゃん」 「まぁそこは否定しないけどサ」 「っ………!////」 「まぁ、そんなワケだから神流?」 「………はぃ………」 テンション低っ。 「転校生の、シュウ君とユニさんです。ヨロシクぅ」 そんなお話。
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