十二夜

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「最初は単なる丸だったのよ」 「丸?」 「うん。原子や分子はそのなごり」 「………じゃあ、なんで今の姿に………?」 「丸じゃん?最初。」 「? はい………」 「掴む」 「?」 「振り回す」 「………」 「で、その結果あんな形に」 デザインしてねーじゃん。 「………なんか、ユニの名前付けた時もそうですけど………世界って、結構適当に作られてるんですねぇ………」 「ユニの名前は俺がつけたんじゃないけど………まぁ、うん」 雲丹よかマシだろ、さすがに。 「あー、じゃなくて、言いたい事は別にある」 「………?」 「………神威を宿した以上、お前は、神威を持つ体。神と同じ身体になるワケだ」 「………その過程が、今ですか?」 その通り。 「でさ。神と同じって事は、つまり、人間と同じって事だ」 「? 同じですよね?」 「………人間にあって、兎に無い物。兎にあって、人間に無い物………あるだろう?まぁ、そこから更に、神にあって人間に無い物………って話になるワケだが」 「………あー、そゆ事ですか」 「そ、つまり、お前は兎でなくなり、人間になる。んでそのまま、人間でなくなり、神様の仲間入り、天使になるワケだ」 「………って事は」 「兎特有の、低重力による身体の弱さは、神威でなんとかなるから………まぁ、つまりはウサミミと尻尾が無くなるだけ」 「ぅ………それはなんていうか………兎として生まれ、兎としてこの地位に就いた以上、示しがつかないような………」 あぁ、やっぱりか。 「だから、そこはまぁ、神威でなんとか出来るからさ。心配はしなくていいけど、その事実だけは把握しとけ、って事」 「はい………わかりました」 「………」 やっぱ、弱ってる最中だから、元気無いなぁ……… 「………励那、なんか俺に出来る事………お前を元気付けれる事、無いか………?」 「………え?」 「いや………その、そりゃ弱ってるってのもあるけど、元気無い姿は、見たくない………」 「シュウさん………」 「お前は………その、俺の………家族、なんだからさ………//」 ………恥ずかし。 「………大丈夫ですよ」 「うえ?」 「今は、ホントに身体がきついだけです。元気になったら、シュウさんとひとつになった事、天使になった事、緋沙さんが直兎になった事………シュウさんが今、私を家族と言ってくれた事、それら全て、跳んで喜びますよ………♪」 兎だけに? 「ん………そっかw」 「はいっ♪」
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