十二夜

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「………考えたくは無いが。ヒナとミウの神威が希薄な物になってる………とか」 「そんな事、物理的にありえるの………?」 「有り得ない………が、成し得ない事をするのが俺で。その俺の半存在がヤツだからな………」 「有り得ない事は無い………と」 「その通り」 「………もし、そうだったら………」 「ま、俺もミウもヒナも、所詮ただの神威………お前が太陽電池ならば、俺は太陽そのもの。神威は日光って所だから………」 「………っ////」 ユニの瞳が潤む。 「泣き虫め………たとえ何が起ころうと、そんな事は有り得ないよ。神はお前から離れない。約束する」 「有り得ない事なんて無いんじゃないの………?////」 「む………なら訂正だ。有り得ない事は、ひとつだけある」 自分の発言に責任の持てない神様ねぇ。 「………ほんと………?////」 「ホントですとも。だいたい、アイツは俺の神威が強すぎて、そして、俺の心が弱いから生まれた存在だ。俺と同等の力を持っているが、そもそも俺無しじゃ存在し得ない………お前と励那の中に宿る神威と同じだ」 「………アイツと私が、同じって言うの………?」 「美しさが違うさ。アイツは、俺の中の悲しみやら憎しみから産まれた、どす黒い、汚い存在。が、お前は違う。神が愛する為に、神を愛する為に産まれた、気高く凜とした、美しさの極致、愛の具現」 「………恥ずかしいなぁ………////」 「その恥ずかしさも、美しさの証って事だ」 「ん、むぅ………////」 いつまでたっても、ピュアなままなあたり、ホントに美しいというか、気高い。 「………結局さ。この物語は、超々テンプレのありがちなストーリーの規模を、最大まで大きくした物なんよ」 「へ………?」 「明確なまでに別れた、正義と悪。世界と、拐われた姫を救う為、仲間を集めて、悪の魔王を倒す………間には、登場人物の葛藤やらなんやら。………な?単純明快」 超テンプレ的RPG。 「………そう、だけど………当事者がそうやって簡単にまとめて、いいものなの………?」 「そうとでも思わなきゃやってられない俺の逃避………と言いたい所だが、逃避してるワケでもなく、事実なんだな、コレが」 「………じゃあ、ありがちなストーリーの通り、正義が勝つの………?」 「それは、『結果』のみぞ知る。ってヤツだ」 「結局、わかんないと?」 「ま、そゆ事」 「………気が晴れたのか、不安が大きくなったのか、微妙」 「ありゃ」
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