十二夜

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「そろそろ、お前が月に来てから数ヶ月経つ」 なんで癒治はいっつも上から目線なんだろうね? まぁ、いいけどさ。 「そだなー………あ、さーちゃん。紅茶おかわり」 「はぁーい」 今日の双子は『サド』と『マゾ』。 幼い子供に向かって言っていい言葉では無いので。さーちゃんまーちゃんという略称。そんだけ。 「ケーキどうしますかー?」 「ん。頼むな」 「はいっ♪」 「………で?何?」 「………この数ヶ月で、月は劇的に変わった」 「………まぁ、星から船に。んで、その船は太陽系どころか、銀河から離れて行ったし………スクナとも別れ。なにより、月の民全てが不老不死なんだからな。劇的ってレベルじゃないわなぁ」 「………お前が励那を抱いた事により。月で初めて、性交が行われたしな」 そんな言い方しなくてもよくね? 「何?科学者としては、やっぱ気になっちゃう感じ?」 「そりゃ多少はあるが………まぁ、この場合は、興味というより羨望………科学者としてはあるまじき事だが、女としての感情の方が大きいぞ………?私だって一応、お前が産まれた………は、間違ってるんだったな。お前が、この宇宙に転移してからだ。それからずっと、私は、お前に恋していたのだから」 「………うん。お前の気持ちはちゃんと受け止めてるよ」 ただ、どう行動に移せばいいかわからないだけで。 「そんなもん当然だ。そこまでバカなら、いくら神でも王でも未だに好きな初恋の人でも、私は見限る」 「て………手厳しいんスね………」 「そりゃ、月の民は皆夢見る少女。白馬の王子様に憧れもするさ」 「ごめんなさいねぇ蒼白い鶏で」 羽が白いとか、バカとか、そーゆー意味で。 蒼白いのは神威な。 「………あー話それた。結局、私が言いたいのはだな?」 「ぅぃ」 「具体的な目標。それが欲しいんだ」 「………あー」 「このままあの盾だか壁だか球だか知らないが、お前の定めた目標………そこに向かって行って。私達はどうなるんだ?」 どうなるか、と言われても。 「………まぁ、確実に戦いは起こるわな。ヒナとミウに封印されてた黒い俺が解放されて、かつ、今俺の中にいるのと合流して………ヒナとミウだけじゃ止められなくなる」 「………強敵だな」 「あぁ、強いだろうな。すごく」 「………月の手助けは………」 「いらんぞ」 「んなっ!?」
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