十三夜

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場所は、王様の部屋の前。 「………うへぇ………」 シーツを受け取る菫奈。 「じゃあ、頼んだ。菫奈」 渡す王様。 「了解しました、けど………いったい、何があったんです?」 受け取ったシーツは、真っ赤。というか、赤黒かった。 「昨晩から、励那が繭に入ってな………」 「繭?」 「卵みてーなもんさ。天使になるってのはつまり、新しい生物に生まれ変わるって事だからな。心と記憶を残して、肉体を分解。で、神威によって元の肉体と寸分違わぬ物を作り出し、そこに心と記憶と、神威を放り込む………わかりやすく言うと、こんな感じなんだわな。で、励那は今その途中。」 なんか図画工作臭がするなぁ。 「はぁ………わかりにくく言うと、どうなるんですか?」 「これから先の未来、いずれ過去に追いつくであろう、次の宇宙その次の宇宙その次の宇宙その次の………以下省略。に存在する『天使』としての励那の同位体と、アカシックレコード………まぁ、ぶっちゃけ言うと虚空蔵菩薩。まぁ俺?を介して神威を共有する事で、全ての時間の、『天使』の励那が同一存在になる。となると、人の身体は、その、無限の情報量に負け、ついには人の身体を放棄して、未来から来た情報で身体を構成する………んだけど、どう?わかる」 長い。 「土下座でいいですか」 「そこまでしなくても………そもそも、人知の外だから、わかる必要なんて無いんだよ。お前はそれでいいんだ」 「………わかりました………けど、それとこの血とは、どんな関係が?神流も部屋から追い出して………何が起こってるんです?」 「………生まれ変わり」 「それはわかりますけど………」 「いらなくなった、元の肉体の処分」 イヤな言い方するなぁ。 「………処分?」 「いや、まぁ、分解して、次に神威で自分の身体作るときの、設計図に………」 「分解!?」 「うぐぅ」 あくまで分解に近い何か、なだけなんだけれど。 「と、ともかく、励那は明日明後日には、前より元気になってるから、今は待て。神流はその後すぐ繭に入るだろうけど」 「せ、せめて、部屋の中どうなってるかくらいは、教えてくれませんか………?」 「………やめた方がいい。発狂するぞ」 「ぇ」 「どのみちさ、元の肉体はすぐに分解されて、次の励那を作る時の、DNAみたいな役割を果たすのだが………それまでは肉体は残ってる。つまり、部屋の中スプラッタ、ぶっちゃけ死体」 「しッ………!?」
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