十三夜

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「「………」」 二人肩を寄せあい、うつらうつらと頭を垂れる。 ―――ぴき 「っ………」 響く音に目を覚ます。 「………ぉ………」 卵にヒビ。 見ると、ベッドを汚していた血液が、綺麗に消えていた。 つまり、励那の情報を全て吸収した、という事。 そして、卵のヒビはそれつまり、情報を吸収し、その情報の通りに身体を構築し終わった事を示す。 後はその身体を世界に産み出すだけ。 「ユニ。起きろ。励那が産まれるぞ」 「………んぅ………?」 「ほら、見てみろって」 「………………………ぁ」 「………産まれるぞ………!」 見りゃわかる。 が、それでも。それでも、興奮せざるを得ない。そんな光景。 ただ純に美しい。 むせかえる程の血の匂いに酔って殆ど止まっていた思考が、何かに急かされるように勢いよく回転を始める。 が、激しく活動しても、別段何か考えているワケではない。 ただただ、興奮を処理するためだけに、全力稼働。 神や天使に、明確な内臓器官は無い為、脳も、アドレナリンなどを出す分泌器官も無いのだが、ともかく、全力で興奮していた。 神や天使などという、この世あの世、鏡の中や幻想の中、その他全ての『世界』に在る物の中で、最も希少で、誇り高く、清く、愛に生きる種族の誕生だ。 世界一同族の少ない種族の誕生。 そうそう起こる事じゃない。 ………まぁ、性交なら星の数程しているのだが、そんな下世話な事言う場面でも無いだろう。 兎は、寂しいと死ぬという(ガセだが)。 神は、寂しいと世界を滅ぼしかねない。 そんな兎と神のハーフ。 いや、ユニが既に人と機械と神の融合体だから……… 更に、ユニの中でも様々な物を産み出せるし………兎とか……… ………………うん、まぁ………なんか、いっぱい。 とりあえずの区分として、兎。 寂しがりやの兎と神。 神。カメじゃねーぞ。 そのふたつがひとつになれば、それはもう、どこにデメリットが?って感じなワケで。 まぁ、実際励那が居ない事で城の中の食事事情はなかなか大変な物になってたりするワケだが。 神流も、産まれ変わったら書類の山が待っているしな。 ともかく、励那が産まれる。 めでたい。 嬉しい。 あと、眠い。(明朝4時)
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