十三夜

6/19
前へ
/991ページ
次へ
光る卵にヒビが生え。 光は、殻の内側からの物になる。 伸びたヒビが、下から上へ。 全て伸びきり、光る線で卵が分かたれる。 その線から、なめらかな羽が生える。 ヒビを突き破り、内側から出てくるのは、翼。 ぐ、と力を込め、羽ばたこうとする。 みし、と卵を突き破る音。 数秒の後。 「「おわあああああああああ!?」」 日も上らない時間に、城から伸びる、尋常じゃない大きさと光量の、青白い光柱。 近所迷惑ここに極まれり。 いやぁ、忘れてた忘れてた、そういや眩しかったんだ、ユニの時も。 でも、嫌な眩しさじゃない。 瞳を閉じたくなるような光じゃない。 目を見開き、もっと見ていたくなるような、綺麗な光。 その光の中に佇む、人の形。 閉じた瞳がゆっくりと見開かれ、大きな大きな、蒼い瞳と見つめ会う。 兎の赤い瞳は既に無く。 真っ白な耳も既に無く。 そこにあるのは、人の形をした、『天使』。 ………いや、それ以上に……… 「………励那………!」 「っ………はいっ!////」 満面の笑みで、生まれ変わった事を喜びあう。 「………兎の耳、無くなっちゃいましたね………」 「あぁ………その姿も、似合ってるぞ?」 「ありがとうございます。って、うーわ。目が青い………」 「あぁ、俺達とお揃いだ」 「私の場合は髪も蒼いけどねー」 青白い神威の、青の部分。 「へー………って、あれ?シュウさん、目ぇ黒いですよ?」 「ん。俺は神威使った時しかなんないよ。普段は人間の肉体を忠実に再現してるからな。今は」 あまり神威を垂れ流すと、またアレが出るからな。 「へー………」 「………気分はどうだ?」 「………さっきまでは、最悪でした。痛くて、苦しくて、自分がバラバラになって、どこかへ消えてしまいそうで………」 「「………」」 「でも、やっと終わった時、一番最初にシュウさんが笑顔で迎えてくれた時………本当に嬉しかった。嫌だった世界に、一瞬で希望が舞い戻ってきて………光が満ち溢れて、私、本当に………本当に嬉しかった!////」 「そうか………そうかそうか!w」 やっぱり、待ってて良かったな……… 「魔力………じゃなかった。神威が身体を満たして………なんでも出来そうな気分です………」 「そうか………じゃ、まずは、お前にやってもらう事がある」 「はいっ♪」 「………朝ごはん、作って」 「………はい?」
/991ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7221人が本棚に入れています
本棚に追加