十三夜

16/19
前へ
/991ページ
次へ
「てゆーか、前にも言ったが、生物は基本雌が基準だ。雄ってのは、雌の突然変異」 「シュウは?」 「後付けのまねっこ。本当の俺とミウとヒナは神威でしかないから、この肉体を放棄すれば、超々高圧縮の神威………まぁ、宝石みたいになるかな」 「「宝石………」」 「まぁ、その姿になる前に、そのまま神威を練り直して別の姿に化けるが」 宝石の姿になるのは、本当の本当に『よっぽどの事態』の時だけ。 (………それこそ、全時空の命運の懸かった………な) 多分、なるんだろうな、近くなく、遠くない未来。 「まぁ、だから、ヒナとミウが女らしいのは当然。………ある意味では、全ての生物の母だよ。アイツらは」 「………つまり、シュウも?」 「知らなかったのか?お前作ってる途中まで、俺髪長くて、女みたいだったんだぞ?それこそ、紫子並に」 邪魔だったからポニテにしてたが。 「「へー………」」 「まぁ、切るのダルかっただけなんだけど」 「「………へぇ」」 「ま、具体的な性別はないにしろさ、与える側、って事で男の形を取った」 「「与える………」」 神威を。 まぁ、つまり……… 「………わかるだろ?」 「「………ぁー………////」」 そゆこと。 「まぁ、あんまり聞くなよ?あの頃は、神威………そこから枝分かれた俺とミウとヒナ以外、まだ何も存在してなかったから、感情だけで、思考なんてもの無いに等しかったからな………あんまり覚えてないんだ」 あの頃、って表現が正しいかどうかも不明。 なんせ、時間という概念すらなかった。 「………世界には、人の知り得ぬ事がたくさんあるんだなぁ………」 「経験こそしてないものの、その、『世界のブラックボックス』を知る事が出来るんだからな。幸せ者だぞ?お前ら」 伝え方が少々マヌケっぽいが。 「うん。………ただ………ね?シュウの話を聞いてると、時々、自己言及のパラドックスに陥る事があるの」 「あ、それわかるなぁ………」 「『私は嘘しか吐きません』ってヤツか?嘘しか言わないなら『私は嘘しか吐きません』は『私は本当の事しか言いません』になって、結局どっち?っていう………」 「程度の差はあれどね。たまに、自分と世界がごっちゃになる」 「うんうん。天使になってからは特に」 「………ぁー………」 それは……… 神威=世界 世界≠神威 (神威は世界。されと世界は神威にあらず) 多分、その所為だと思うが………
/991ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7221人が本棚に入れています
本棚に追加