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「神威が消えたら世界は消滅する。が、世界が消えても神威は無くならない………そんな感じだから、多分、そんな錯覚をするんだと思う………」
宇宙を膨らんだ風船とするならば、神威はゴム風船兼中の空気。
ゴム風船単体でも、中身の空気単体でも無いあたりが、神威の万能、有能、チートっぷりを表している。
「「へー………」」
「だからこそ、励那が卵だった状態を、世界とも風船とも例えたんだ」
「あ………そうだったの?」
「そうだったの」
「「へー………」」
「………ふぅ………読書も終わったし………次の暇つぶしは………と」
「はい議長」
「はいなんですかユニさん」
なんだコイツら。
「………シュウがイヤじゃなければ、なんだけど………」
「?」
「………思い出話、聞きたい………かも」
「? 思い出話?」
「うん………ミウとヒナの話………シュウがイヤじゃなかったら、別にいいんだけどね?」
………あー………
「………思い出………ねぇ………胡蝶蘭の話はしたし………あんまり、話すような事ねぇぞ?」
「………そんな事無いでしょう………シュウ達、どれだけ永い間一緒に居たと思ってるのよ………」
「………そりゃ、そうだけど………」
「?」
「………何もせず、ただ一緒に過ごしていただけだぞ?たま~に、地球で過ごしてから帰ってきた俺を、慰めたり、元気付けたり………でも、それ以外はホントに普通の日常だ。ユニだって経験したろう?」
ヒナと修行したり。皆でミウのご飯を食べたり。
「………ホントに?」
「あぁ」
「………平和だったんですねぇ………」
「………あぁ、平和『だった』よ」
ギリ………と、本を持つ手に力が入る。
「「………」」
「人間の脆さ、短命さに哀しみ、もう失う事をしたくなくて………それで、ユニを作り始めたんだ………始めたんだけど………」
少し、遅かった。
「………もしかして、私………私が、最初に、シュウの事嫌いって言って………それで、手間を掛けたから………シュウは、間に合わなかったの………?」
「………違うよ、ユニ。ユニは間に合った、間に合って………俺の事、すごい幸せにしてくれた。間に合わなかったのは、俺が人間に情を抱きすぎたからだ………少し、ほんの少し、人間に深入りしすぎた所為で、生死に対する感情が強くなって………抑えられなくなった」
「………シュウさん………」
「………なんて、哀しい………」
………今が幸せなだけマシだよ。
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