十八夜

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そして。 「そう、いい子………優しく、飛ぶの………お前がとっても速く飛べるのはわかってるけど、でも、それを見てもらう為には、優しく飛ぶ必要があるの」 「お、来た来た………すごいな、フライト用のプログラムがこんな速度で………」 隣でキーボードと液晶抱えてる癒治。 「そーゆーもんだからね。機械とお話するってのは」 初めてシュウに見せた時は、しきりに「ブレンか!ブレンパワードなのか!よし脱げ!そして飛べ!」とか言ってた。 あと「永野メカが動く事がどれだけ有難い事なのかわかってんのかねぇ………」とか。 恥ずかしながら、その言葉の意味がわからなかった当時の私は、さすがシュウだなぁ。とか思ってたのだけれど。 言葉の意味がわかる今、とりあえず後者については同意件。 まぁ、前者の言葉についても、だいたいそんな感じだから、正解っちゃ正解、かな。 ………なんだ、どのみち、今の私にとっても、シュウの言葉に抱く気持ちは、さすがシュウだなぁ。なんじゃん。 ………うん。やっぱ、さすがだよ、シュウは。 「ユニ、なんか変なの混ざってる」 「ん、え、あぁっ!こらっ!それじゃ速いってば!私の言うことちゃんと聞いて!」 いっけね。集中集中。 「お疲れー。夜食だよー」 「ぉ」 「ん」 おにぎりやら味噌汁やら、色々と作ってきてくれた香留菜。 「外、雪なんよ」 おや。 「月がミヅキになっても、冬は来るし、雪も降るんだねー………明日の朝になると、皆驚くだろうなぁ」 「ちょっと、出来すぎてる気もするがな」 なんか既に食べ始めてる癒治。 「「夢無いなぁ………」」 「仕方ないだろう………いくらなんでも、こんな………なぁ?」 ………まぁ、若干、やりすぎって感じはするけど……… 「やりすぎちゃう程、天に味方されてるんだよ。きっと………それは、光栄な事じゃない?」 「………まぁ、神様味方につけてるワケだしなぁ………」 ………文字通り、天に味方されてるようなもんか……… 「香留菜、頭に雪付いてる」 「ありゃ」 「あーあー、手ぇ真っ赤にして………寒かったでしょう?」 「んーん。大丈夫、平気だよ」 ………って……… 「あれ?」 溶けてない雪がある? 「何コレ………羽?」 「「「………」」」 ………さすがに、これは……… 「………ほら、やっぱり出来過ぎてるじゃないか」 「「うん………」」 ………まぁ、でも……… (心強い………な)
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