十九夜

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「荷物よーし。食料よーし。神流の機体も積んだし………」 「準備完了、ですか?」 「だぁね~………」 緋沙ちゃんも神流も励那もいるし……… 「ほんじゃま、ぼちぼち出発しますかー………」 「ユニ、なんでそんなぼーっとしてるのよ………」 神流は神那と緋沙ちゃんと寝たから大丈夫だろうけど、私は徹夜だから眠いのよん。 まぁ、グチる程大人気なくはないつもりなので言わないけどさ。 「………」 「んぅ………?」 やっと寝れる。もとい、出発出来る、って時に、袖を引いてくる儚。 「どったのー………?」 「………………シュウは?」 ……… 『ぁ』 ………一人も気付かなかったのか……… (ごめんシュウ………マジでごめんなさい………) いや、だって、シュウってば今元気無いし。 神威ってのは有り体に言うと、『存在力』ってやつだ。 そもそも、無であった世界に『存在』という概念を作り出した物が神威であって、それはつまり、どんな『存在』だろうと作り出せるって事で。 神威を宿すと不老不死ってのは、肉体が消失しても、その『存在力』が神威にすり替わっているから、その人そのものの『存在』が消えない、という事で。 わかりやすく例えるならば、名簿。 『世界に存在する』という行為を行なっている者や物は、『世界』という名簿に、自分の名前、つまり『存在』を書きこんでるような感じ。 ただし、鉛筆で書いてあるから、消したらその名簿からは見えない。つまり、存在しない事になる。 で、神威ってのは、その人の名前を彫った判子みたいなもんだ。 インクだから名前が消える事は無いし、仮に名簿が壊れても、判子があるから、別の名簿にぺったんこ。 名簿が無くても、名前を刻んだ判子は確かに『存在』する。 そんな力。 んで、今のシュウは、そんな力が使えない状況。 つまり、存在が薄くなってる。 ………まぁ、それでも人の身体である以上、普通の状態と差違は無いのだけれど。インクだし。 「………単純に忘れてました。ごめんなさい」 『すいませんでした………』 「………」 儚以外、寝ているシュウに土下座。 ………いやぁ、寝不足だからと言っても、さすがにコレは無いよねー。 ………猛省。 (神威が十分な状態のシュウだったら、常に頭の中でシュウの事考えてんだけどなぁ………) そーゆー力だ、存在力って。 (………忘れるなよ。私………旦那様だぞ?)
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