闇夜の中で笑って

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扉を開けると 「んー。薄暗ぁい」 「………階段、ですねぇ」 螺旋を描く、長い長い階段。 段差の大きさは普通。 ただ、長い。 幅も、距離も。 超、長い。 「俺の速度でここ昇って行ったら、お前ら横Gがキツいか」 超高速で螺旋をぐるんぐるんぐるんぐるん。 「私はともかく、この子達は厳しいかな」 「「「面目無い………」」」 「いいのよ」 まだまだ未熟だもの。 高望みはしないさ。 「じゃあ………ユニ、頼めるか?」 「ん」 ぽゎ、と光を灯して 「あ、シュウ様の機体だ」 「………けど、ちょっと違いますねぇ」 「こっち光速巡航用。お前らが見たのは中・近距離高機動用」 こっちは羽が大きかったりジェネレータが大きかったり兵装が雀の涙程度だったり。 「まぁ、光速程度だったら、お前らの体内に張った結界でも耐えきれるだろ」 「だね」 「「「えぇー………」」」 光速『程度』。 久しぶりに神様のチートっぷりが全速力で発揮されております。 「待ってな、先に内部広げてくるから」 「手伝う?」 「ユニは病みあがりだろ。無茶すんな」 「………まぁ、病んではいたけど」 「てゆーか、さっきの鍵は無理に入んないんですか?あんなに大きいのに………もしかして、結構軽い?」 「「重いよ?」」 だいぶ。 「………ユニ、持ってたよね?」 「私にとっては軽いかな」 怪力少女だもの。 「「「………」」」 「「いえーい」」 普段アレでも、神様夫婦は、実はしっかり凄いのよん。 「シュウ様、あーん」 「あー」 一日の殆どを操縦に費やす事数日。 なまじ螺旋なぶん、道のりは長い。 食事をしている暇もなく。 励那の作ったサンドイッチやらおにぎりを、操縦しながら口の中に放り込んでもらう日々。 今日は緋沙。 嬉しいけれど、とても虚しい。 「………」 ユニは、ずっと俺から離れない。 今は、それでいい。 「………えーと、ひー、ふー、みー………」 「あと、1週間と17時間6分13秒5217」 「ん、ありがとユニ」 「いえいえ」 目的地までの距離は、何時間飛んだかで計算。 「ゴールまで一週間ですか?」 「「いや」」 「え」 「………まだ長い」 「………どんだけ大きいんですか、ここは」 「だいぶ」 かなり。
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