疲れた青年と路上の少女

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 ……自然と涙が出た。  何故かは判らない。  でも今この瞬間、アカリの歌に、声に、目に見えない大きな感情を動かされた。  アカリは今この瞬間、つい先刻語った夢を、奇跡を、この場所で起こしてみせたんだ。  ……しかし、彼女の反応は予想を反した。 「……え!? ウソ、泣いてるの? どっか痛い? 嫌なことあった? ……もしかして、あたしのせい!?」  いとも簡単に奇跡を起こしたことに、全く気が付かないアカリ。  それが可笑しくて、俺は泣きながら笑った。
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