疲れた青年と路上の少女

3/35
前へ
/35ページ
次へ
 頭の中に浮かぶのは「もし自分がもっと金持ちだったら」とか、「もし人生をやり直す事が出来たなら」とか……あまりに幼稚でくだらない事ばかり。  くだらないと分かっていながらもなお浮かび続けるなんて、俺の脳ミソは完全に腐ってしまったらしい。  同じ様に腐った世の中に侵食され、泣く事すら忘れてしまった。  とにかくこの苛々をどうにかしたくて、俺は古い安アパートの扉を開け、暗闇に佇むアスファルトを踏みしめた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加