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その時この数時間で聞き慣れた声がかかった。
しまった、と後悔しても遅い。
「ん?シィン、君の知り合いか?」
重い沈黙が降りる。
取り敢えず、シィンはカィンに謝った。
「カィン、すまない、しくじった。これのことは忘れてくれ」
「ああー、まあそれはともかくですね…どうせなら立ち話より飲みませんか」
ちょうどそこ飲み屋ですし、と路地奥の店を指す。
「いや、それは…」
「はっきり言ってその方が目立ちませんし、ローウェン卿の件、俺、提案できますよ」
思わぬ申し出にカィンを見、次いでジエナを見る。
ジエナも、カィンとシィンを見比べて、答えを出せないでいる。
そして迫る人の気配…。
「わかった、行こう」
シィンは覚悟を決めて、路地に入った。
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