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連れと思われるのも恥ずかしい、とシィンは軽く辺りを見回す。
幸い、今朝も、王城中心部に人気はないようだ。
誰にも会うことなく宰相執務室に着くと、先にシィンを室内に入れ、あとに続いたユラ-カグナ自ら、扉をひっそりと閉める。
「…で、何の用だ?」
厄介事は早く済ませるに限る、と早速シィンが問いただす。
慎重に扉から手を離したユラ-カグナは、振り返り、頭巾を下ろした。
「取り返して欲しいものがある」
それが、一連の騒動の始まりとなった。
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