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「どうした?もう終わり、……っ!?」
はっ、と嘲るように笑うウォルトの腕に、突如、幾つもの裂傷ができる。
彼はツゥ…と腕を伝って指先から滴り落ちていく自らの血を、どこか恍惚な瞳で見遣ってから、ほぅ、と熱い吐息を零した。
視線をレニウムに向ければ、彼の蒼い瞳は獲物を捉らえた肉食獣のように爛々と輝いていて、それが益々ウォルトの中の獣を荒立てた。
「…やってくれるじゃねぇか。」
「ったりめぇだ!やられたらやり返せ、だからな!」
どうだ、と高笑いするレニウム、ウォルトはチロリと赤い舌を覗かせて満足気に妖笑した。
強い風が吹き抜け、両者が互いに武器を構える。
ぴん、と張り詰めた空気。
息を殺し、相手を窺う。
そして――…
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