椚 宗助(くぬぎ そうすけ)

4/9
前へ
/42ページ
次へ
それを察してか、双方の親も何も言わず・・・ただ悲しそうな顔をして俺たちを見ている。 だけど・・・何時までもこうしている訳にはいかない・・・ 「一つ聞いてくれ・・・俺は・・・今は離れるけど・・・必ずこの街に戻ってくる・・・・ その時は・・・ずっと君の側にいるから、もう離れたりしないから、約束するだから・・・・もう泣かないでくれ・・・・」 これがその時の俺にできる精一杯の約束だった・・・ すると彼女は腕で涙を拭って顔を上げた・・・ 「・・・ホント?ホントにもどって来るの? 戻ってきたら・・ずっと一緒にいてくれる?」 「ああ、ホントだ、 ずっと一緒だ・・・・」 「約束だよ・・・・破ったら許さないから・・・」 「必ず守る・・・約束だ。」 そう言ってゆっくり俺から離れる・・・ 悲しかったが・・・・今俺が名残惜しんじゃいけない・・・ 俺は両親の乗っている車に乗り込んだ。 その時彼女は涙を流したが・・・笑いながら手を振ってくれた。 「待ってるからね・・・・またね、宗くん」 「うん・・・またね・・・美尋・・・・・」
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加