ある捨て猫の物語

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その猫は兄弟とともにゴミ捨て場に捨てられた。 レジ袋に入れられ、きっちりと口を縛られた状態で… だんだん無くなっていく空気、苦しくてもがいても、ギュウギュウに詰め込まれて、自由は効かない。 か細い鳴き声は、ひとつ、またひとつと途絶えていく。 最後の一匹が必死であげた鳴き声が、ようやく通行人の足を止めた。 山積みになったゴミの中から、ようやく子猫の鳴き声のする袋を見つけた。 きっちりと縛られた袋をやっとのことで開けると、そこには虫の息となった四匹の子猫たちがいた。 まだ眼も開かない、子猫たちだった。 その人はとりあえず、自分のアパートに連れ帰り、翌日から、里親探しをはじめた。 掲示板の隅に小さく書かれた 「子猫の引き取り手、探してます。」 その控えめな文字が、私ともこなが出会うきっかけでした。
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