5年前の真実

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大地は起き上がって、あたしの肩を強く掴んだ。 「好きですから。」 「…………」 「きっと、先生が思ってる数倍、俺の気持ちは大きいから!」 シーツを強く握っていた手が、緩む…。 あたしは 大地のその言葉に 口がぽかんと開いたままになった。 信じられなかった。 あたしに… こんなあたしに そんなセリフを言ってくれる人がいるなんて。 とても 信じられなくて どこかくすぐったい気もして でも 思う間もなく 目頭が熱くなる……。 「だったら……」 「オレが消せないのは、俺の………」 「……?」 「………俺の過去………。」 「……え?」 「先生じゃない…」 「大…」 「汚いのは…俺だよ……。」 「………大地…?」 「………ごめん………。」 外傷なんて  いつかは消えるものだけど  心が裂ける傷跡は  いつ消えてゆくのかな…。  『想い』という薬が  『愛情』という包帯が  それを癒してくれるなら  あたしは君のために  何でもできるだろう。  抱き締めた腕の中で  君が笑顔になるように  何度もそう祈った。  未来が見えたように  幸せになりたくて………。  でも…………。 。
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