5年前の真実

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「え…じゃあ……、あたしのこと初めから知ってた…って事?」 「…………うん。」 ベッドサイドにある間接照明が 優しく大地の顔を照らしていた。 オレンジ色の優しい光は、あたしにとって心地いい… 安心する灯りで、 なんだか 大地の存在そのものな気がした。 「……実習生の待機室の前で……会ったとき…、そういえば大地、動き止まってたよね…?」 あたしの脳裏には 大地に初めて会ったあの朝の光景が浮かんでいた。 フリーズしてた大地に あたしは一目で好意を抱いた。 もちろん…… それは今のこの想いとは、全く別領域のものだけど…。 「……固まって…ましたよ…俺は…。」 大地は、あたしを腕枕する腕とは別の手で… 自分の表情を隠すように、顔に手を当てた。 「大地?」 あたしは体を少し起こして、そっと覗き込む。 「……………」 無言だった。 だからすぐに分かった。 大地が今頭に浮かんでること。 あたしは大地の顔に手を当てる。 「大地は、あたしの過去が引っ掛かるの?」 「え?」 「あたしが嫌い?」 「………先…」 「あたしが汚いから……あたしの過去が……」 「先生!」
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