帰省

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   そんな僕の声に呼応するかのように、保が振り返った。  「久しぶり」  お供えを置き、仏壇に手を合わせた後、僕は二人に歩み寄った。  「雅兄もスイカ食べる?婆ちゃんが井戸水で昨夜から冷やしてたんだぜ」  「貰おうかな」  二人の空いているスペースに腰を下ろせば、俊幸がスイカを差し出してくれる。  「何で5年も来なかったの?俺等、雅兄が来るの楽しみにしてたのに」  新しいスイカに手を伸ばしながら、問いかけてくる保の声は怒っている。  「ごめんね。色々忙しかったんだ」  健ちゃん達にも使った言い訳をまた、此処でも使ってしまう。  「言いたくないなら無理には聞かないけど、雅兄が来なくなってから、爺ちゃんも婆ちゃんも、張り合いなくしたみたいで、正直見てられなかったんだぜ」  それはそうだと思う。  だって僕は、ある事実を二人に告げてしまったのだから。  そのせいで、僕は二人に曾孫の顔さえ見せてあげることはできない。  それどころか、奥さんの顔さえも。  「でも雅兄が来てくれて良かったよ。二日前から二人共凄く楽しそうでさ、雅兄が来るなら、昼はアレにしようか?夜はどうしよう?なんてはしゃいでたんだぜ」  想像した通りの言葉に、目頭が熱くなる。  「俺等、三日前から泊まってたけど、あんな楽しそうな二人を見たのは、雅兄と電話した後からだぜ」  どこかふてくされたような俊幸の言葉に、保が大きく頷く。      
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