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「あのね……」
許容されるのは嬉しいけど、それはあくまでも仮定の話であって、事実なのだと知ったらきっと二人は気持ち悪がるに違いない。
「でもさ、絶対雅兄には格好良い彼氏が似合うって」
まだ言うのかよ……。
「雅兄、彼氏出来たら真っ先に俺等に紹介しろよ。雅兄に相応しいかどうか見極めてやるからさ」
バトミントンをしながら、二人は満面の笑みを浮かべている。
「冗談だよね?」
そうであって欲しいという祈りは、どうやら天には通じなかったらしい。
「俺等は本気だよ。だって雅兄、女に興味ないでしょ?」
「何年従兄弟やってると思ってんの?雅兄見てたら分かるんだよ」
羽を打ち合いながら、息一つ乱さず二人は会話を続ける。
「そうそう。だって雅兄の口から、女の子の名前なんて聞いたことないしさ」
言われてみれば確かにその通り。
彼らの前で女の子の名前どころか、そんな話すらした事がなかった。
「別に俺等は、雅兄がどんな性癖でも気にしたりしないよ。雅兄は雅兄じゃん」
何故か、保のその一言に救われたような気がした。
まだ二人には話せないけれど、好きな人が出来た時に相談できればいいな。
心からそう思えた。
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