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健ちゃんと学の会話を遮るように、声を上げたのは晃司だった。
「あの神社について俺、中2の時にちょっと調べたことがあるんや」
そして晃司が教えてくれたのは、僕達が知らない事実だった。
「嘘やろ。あの神社ってそんな曰く付きやったなんて……」
聞き終えた後、豪が呆然としたように呟く。
それはこの場にいた全員の思いでもあった。
「せやけど何で今年の夏なんや?去年までは何もなかったやん」
結局行き着くのは最初の疑問。
「おっ、二人が戻って来たで」
何事もなかったかのように、宏と達也は楽しそうに話ながらこっちへ向かってくる。
「何もなかったで。多分誰かの悪戯やと思うで」
怖い思いをしなかった事で落ち着きを取り戻したのか、宏は至って普通に話している。
「次は雅春の番やけど、誰かと一緒に行くか?」
あんな話の後だから、きっと豪は気を遣ってくれているんだと思う。
「一人で平気だよ」
怖くないと言えば嘘になるけれど、その幽霊に会ってみたいという思いの方が強い。
「何かあったら直ぐに電話してな。全員で助けに行くし」
「うん。有難う」
健ちゃんの言葉に礼を述べ、僕は一人、裏庭を後にした。
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