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5年という空白があるにも関わらず、婆ちゃんは何一つ変わっていない。
その温もりに涙が溢れる。
「明後日の10時頃、そっちに行くよ」
『車で来るんやろ?』
「そのつもり」
僕の愛車は、爺ちゃんがお金を出してくれたから、帰る時は車でしか行かない。
『気をつけて来るんやで』
「分かってるよ。爺ちゃんも婆ちゃんも暑いんだから、無理しないようにね」
『大丈夫やで。明後日、会えるん楽しみにしてるからね』
その言葉を最後に、かかってきた時と同じように唐突に通話は終わった。
きっと今頃、二人は楽しそうに盆の話をしているんだろうな。
溢れた涙を拭い、そんな光景を想像して一人笑みを浮かべる。
此処が僕のアパートの部屋で良かった。
会社とかだったら間違いなく、変な奴だって思われてしまっていたはずだから……。
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