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「今から夜が楽しみや。全員集まるかな?」
「盆踊りやし、こんな田舎やから娯楽もないし、暇な奴ばっかりやから心配いらんよ」
健ちゃんの心配を他所に、豪は豪快な笑いを浮かべている。
「豪が声をかけるんだから、きっと皆来るよ」
昔から、豪が声をかけて集まらなかった奴は一人もいないもん。
「じゃあ7時に体育館の前で待ち合わせな。健は雅春を連れて来てや。家も近いんやし」
「任せとき。ほな俺等は準備があるから、また後でな」
話が纏まると、健ちゃんも豪も盆踊りの準備に戻ってしまった。
そんな背中をぼんやり眺めていれば、ポケットの中で携帯が震える。
「うわ。時間過ぎてる」
電話をかけてきたのは婆ちゃん。
予定時刻を過ぎても着かない僕を心配しての事だった。
今居る場所を告げ、急いで車まで戻り、再びステアリングを握る。
それから後は寄り道もせずに、真っ直ぐに家へと向かった。
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