†第一章†

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けれど、いくら悪態をついても、なんら状況が変わるわけでもない。 それは十分に分かっているのだけれど、悪態をつかずにはいられなかった。 寄り道をしているのだとしても、いくらなんでも遅すぎるし、私が訪れる時を見計らったようにいないなんて、まるで…。 ふと、心に浮かんだ言葉に、私はとても不安を感じた。 ―…まるで…、そう、まるで避けられているみたい―……。 もしかして私、ボリスに避けられているのかしら……? そう考えると、私の訪れる先にボリスがいないことも納得できる。 私の姿を見たボリスが、私に会いたくなくて隠れているのだとしたら…? 次々と頭をよぎった考えに、私はブンブンと頭を振った。 何事も悪く考えるのは、私の悪い癖だわ。 ボリスだって色々と用事があると思うし、それで会えないのかもしれないじゃない。 面と向かって、嫌いだと言われた訳でもないのだから、避けられているみたいと考えるなんてボリスにとても失礼な事だ。 けれどそう自分に言い聞かせても、避けられているかもしれないという考えが頭から離れなかった。
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