†第二章†

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外に出ると、清々しいほど澄んだ風がそよそよと吹いていた。 心地良い風に、グッと一つ伸びをする。 今日は頗る体の調子が良い。 これならアリスの滞在先まで、そんなに時間をかけずに行けそうだ。 ―…アリスに会ったら一緒に双子に会いに行くってのもいいな。 アリスと二人だけで過ごす時間はもちろん大好きだが、双子のところでアリスと一緒に昼寝をするのも悪くない。 ―…取り敢えず、時計塔に行かないとな。 俺は、正面の森から突き出している、時計塔を眺めた。 あの時計塔には、ユリウス=モンレーという塔の番人が一人で住んでる。 ―…でも、今は違う。 今は俺の大好きなアリスが、あの時計塔に滞在している。 アリスが自分で時計塔に滞在すると決めたから、俺は何も言えないけれど、本当は嫌で仕方がない。 滞在先が時計塔以外でも、嫌な事に変わりないのだけれど、アリスが時計屋さんと一緒に生活をしているって考えただけで、時計屋さんを殺したくなる。 だけど、時計屋さんを殺したら絶対にアリスに嫌われるってわかっているから、殺さずに我慢しているのだ。 本音を言えば、アリスに俺の部屋以外のところになんか滞在して欲しくない。
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