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「出掛けてねぇーじゃねーか。 だいたいお前の行動時間は夕方と夜の時間帯が主だろ」
「たまには朝の時間帯にも出掛けてるっての。 アンタが知らないだけだ」
「ほー、俺が知らないだけ、か。 ……じゃあ、そのたま~にしか出掛けない朝の時間帯に、お前さんは何処に行くんだろーな?」
ニヤニヤと笑いながら聞いてくるおっさんに、殺意が湧く。
けれど、俺は我慢した。
久し振りにアリスに会いに行くのに、血や硝煙の臭いをさせていたくない。
「しつこいなぁ~。 ……なんでそんなに俺の行き先が気になるのさ? なんか理由でもあんの?」
「そりゃあ、アレだアレ。何かどーでもいいことなんだが、気になると知りたくなってどうしようもないってやつだ」
「……何だよ、それ。意味わっかんねー」
わはは、と笑うおっさんに、思わず溜め息が零れた。
いっつも思うけど、このおっさんとの会話は疲れる…マジで。
「んで、マジな話。お前、どこに行くんだよ?」
「……帽子屋」
笑いを含んだまま、懲りずに尋ねてくるオッサンに、そう答える。
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