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「はぁ~」
思わず溜め息が零れてしまう。
ここに来ていると聞いて急いで来たのに、いないなんて―……。
全く、無駄足を踏んでしまったわ。
「お姉さん、どうしたの?」
「元気がないよ? お姉さん」
声をかけられて顔を上げると、帽子屋ファミリーの双子の門番、青い警備服のトゥイードル=ディーと赤い警備服のトゥイードル=ダムが心配そうな顔で私を見上げていた。
とても無邪気な顔をした双子なのだけれど、『ブラッディ・ツインズ』という恐ろしい異名を持っていて、周りから恐れられている。
けれど私は、何故か双子に懐かれているみたいで、――たま~に危険を感じるけれど――弟が出来たみたいでちょっと嬉しかったりする。
―…もちろん、双子が手にした大きな斧さえ視界に入れなければ、の話だけど……。
「お姉さん。顔色が悪いけど、どうしたの?」
「もしかしてお姉さん、具合悪いの?」
「えっ…」
双子に尋ねられ、私の口からは驚きの声が出てしまう。
捜し人に会えなくて、多少落ち込んだ顔をしていたのかもしれないけれど、具合が悪そうに見えるほど、私は酷い顔をしていたのだろうか?
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