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「さぁ、お姉さん。屋敷の中で休もうよ」
「大丈夫だよ、お姉さん。僕達がちゃんと看病してあげるから」
幼い顔に満面の笑みを浮かべ、私の右手をディーが、左手をダムが掴み、ずんずんと門の中へ進んで行く。
「ちょっ、ちょっと待ってちょうだい二人とも! 私は具合なんか悪くないわ。溜め息をついただけよ」
このままではいけないと思い、私は慌ててそう告げる。
すると双子は同時に足を止めるとキョトンとした顔を私に向けた。
「そうなの? お姉さん」
「お姉さん、具合悪いんじゃないの?」
「ええ、そうよ。具合なんてちっとも悪くなんかないわ。ただちょっと疲れて溜め息をついただけなのよ」
あえて『ちょっと』と言うところを強調し、にっこりと笑ってそう告げる。
『そうなんだ』
一瞬、あからさまに残念そうな顔を双子はしたけれど、私が元気だと納得してくれたみたいで、良かったねと言い合っている。
そんな仲の良い双子を見ながら、私は気がつかれないようにまた溜め息をついた。
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