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そこで、『一曲聴いていかないか?』というゴーランドの誘いをキッパリ断り、ボリスの後を追って帽子屋ファミリーの屋敷まで急いで来てみたのだが、ここの門番であるディーとダムの二人は、ボリスは勿論のこと、誰一人ここを訪れた者は居ないと言うし、ボリスが他に行きそうな場所も知らないと言う。
それで思わず、盛大な溜め息が零れてしまったのだ。
―…ボリスに会えると思って急ぎ足で来たのに、居ないなんて……。
ボリスったら、一体何処に行っちゃったのかしら?
こんなことなら、遊園地のボリスの部屋の前で待っていれば良かったかもしれない。
何時間帯か待つことになったかもしれないけれど、こんなふうに擦れ違うことなんかなく、確実に会えたはずだ。
頭の中でそんな考えを巡らせていると、またディーとダムが私の手を掴んできた。
「お姉さん、具合は悪くないんだよね? だったら僕たちと遊ぼうよ!」
「そうだよ、お姉さん。僕たちと遊んでよ」
にこにこと笑顔を見せながら、双子は言う。
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