15人が本棚に入れています
本棚に追加
美「ちょうだい♪」
博「ん。これな!」
細くて脆そうな線香花火を一本美桜に渡した。
博「じゃあ、どっちが長く線香花火を落とさずに居られるか勝負やで!」
そう俺が言うと、子供の様に無邪気な笑顔で「うん♪」と笑った。
二人並んでしゃがみ込んで、線香花火の先をろうそくの火にたらした。
シュッと、火がつくと、パチパチと小さな光が弾けて、夜の地面をオレンジ色に照らした。
美桜の顔も、オレンジ色に照らされて、愛しく思えた。
静かにただ、じっと。
落ちないように、
消えないように、
静かにその光を見ていた。
美桜の横顔を切り取って、
俺の心に貼りつけた。
この今、一瞬一瞬を、
心に焼きつけた。
最初のコメントを投稿しよう!