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春休みが終わった登校初日。
クラス替えもあったと言うのに、教室内の話題はクラス替えでは無く別の話題でもちきりだった。
夏希は、首を傾げながら席につく。
「よ、水瀬。また同じクラスだな。よろしゅう。」
「なんだよ佐藤、よろしゅうって。」
窓際の一番後ろの席。
何故かラッキーだなと感じながらカバンから教科書を取り出していると、前の席にどっかりと座った生徒が声をかけてくる。
佐藤 利明は高校に入ってから出来た夏希の友人で、去年も同じクラスだった。
「そっちこそなんだよ。今日から二年だってのに浮かない顔してんぞ、お前。」
「二年は関係ねぇよ。つか、浮かない顔なんかしてない。」
「い~やしてるね。教室に入って来るときだって首を傾げてたろ。なんか気になる事でもあんのか?」
「別に。それよりさ、この前、お前から借りた本なんだけど………」
「お?なに、もう読んだの?」
利明が身を乗り出してきた。
夏希も負けじと力強く頷く。
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