‡~1~‡

36/44
前へ
/63ページ
次へ
「………夏姫?」 「……………。」 「…………お姉ちゃん?」 「……………。」 夏姫の目が泳いでいる。 問答無用に、先ほどひらひらと振った本の面で夏希は姉の頭を叩いた。 「うきゃっ!!」 スパンッと大きな音がして、夏姫は頭を抱えてしゃがみ込む。 「あのね夏希。……お姉ちゃん…家庭内暴力はいけない事だと思うの。」 姉は目のはば涙で抗議した。 再び、スパンッと音がなり、 「うきゅぅ……」 なにやらマヌケな声を出して夏姫は呻く。 溜め息をつくのは夏希だ。 呆れながら彼は姉を見た。 「人の荷物を勝手に開けるなって言ったよな?これで何回目だバカ夏姫。」 「だって~……中身気になるし……うきゃあ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」 「あ~れ~ほ~ど~言ったよな?なあ!?」 夏希は本の角をグリグリと姉の頭のてっぺんに押し付けた。 「はげちゃうよバカっ!!」 「やかましい。反省しろ。」 「した!!すごくしたから!!ごめんなさい~!!」
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加