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「別なわけあるか。反省してるなら態度で示せ、態度で。」
ここまで言っても、なぜか夏姫は黙って見つめてくるだけで部屋から出て行こうとしない。
「……なんかいつにも増して素っ気ないなあ…何かあった?」
「別に。」
流石に鋭い……と、夏希はうんざりした。
伊達に幼少期から弟を構う悪癖を備えてはいない、と言った所か。
どこか様子がおかしい事を、目ざとく見抜いてきた。
「うんにゃ。絶対に何かあったはずね。だって、ドア開いた時もぼ~っとしてたし。」
「………はあ。」
「な……なによぅ……」
これ見よがしに、夏希は溜め息をついた。
さらに、首をふりながら肩をすくめてみせた。
オマケに冷笑で終わりを飾ると言う徹底ぶりで、軽口を叩く。
「お見事。その洞察力をフルに生かして、次は相手の気持ちを読めるようになると良いね、姉さん。」
わざと、夏希は"姉さん"の部分を強調した。
彼が夏姫を姉と呼ぶ場合は二種類ある。
皮肉を口にするときと、怒っているときだ。
言うまでもなく、今回は前者。
でも、ほんの少しだけ後者が混じってる気がしないでもない。
「失礼ねえ。私だって相手の気持ちくらい薄々わかるもんっ。」
「OK。じゃ、今の俺の気持ちを代弁してみてよ。」
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