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とりあえず、黙ってるなら別に問題ないと思い直し、夏希は本を開いて読むふりをした。
さて。
どうしたものだろうか。
本に書かれた文字を目で追うが、頭には入ってこない。
すでに頭はいっぱいだった。
「つか……今更悩んでも仕方ないんだけど……」
完全に拒絶したし。
でも……なんとなく気になる。
いや、正直に言うなら、かなり気になっていた。
もともと、夏希はファンタジーとか、そういった類は大好きだ。
魔法やドラゴン。
勇者や魔物。
現実では有り得ない物語は、夏希の胸を踊らせる。
だが。
やはり、現実では有り得ないのだ。
ドラゴンや、魔法や……魔女なんてものは。
だからこそ、真穂が魔女なんだと言った時、夏希は彼女を異常だと判断した。
しかし…もし現実で有り得るとしたら?
魔女が実在するとしたら?
「なに考えてんだ俺…有り得ないっての。」
溜め息をつきながら、夏希は次のページを開いた。
もちろん、内容なんかわかっていない。
「………結局…手っ取り早いのはあの転校生の話を聞くことかな……」
つくづく、うんざりしてしまう。
彼女が魔女だなんて、有り得ない。
それはわかっているのに、あろうことか今更興味がわいてしまった。
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