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一生懸命に、頷いた。
大切な思い出として、いつまでも留めておけるように。
これが……最期になることは、幼い夏希にも理解出来たから。
「……また来るから……お話聞かせてね。おばあちゃん。」
「はいよ。いつでもおいで。たくさんお話ししようね。」
結局…それが最期。
次は無く、夏希は祖母の笑顔を写真でしか見る事が出来なくなった。
腹立たしい事に、祖母に世の中の不思議もわかると豪語しておきながら、夏希はわからない。
世の中に不思議な事なんて無いと断言出来るようになった自分しかいない。
だから、せめて本だけは今でも読み続けている。
大好きな祖母との約束。
たくさん本をよむ。
ああ。
それなら、出来る。
本の中にはたくさんの不思議が詰まっていて、まるで自分が体験しているかのように、物語の中の不思議な出来事に胸が躍る。
だから。
だから。
夏希は本が大好きになった。
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