プロローグ

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ふと、手にしていた漫画から目を離して、 視線をパソコンの画面へと向ける。 つい先程画面を見ていた時から、十分進んだ時間。 マスター> ピー助 さんが入室されました。 それでも、画面は十分前から何の変化も無かった。 特に珍しいことでも無いのか、少女の表情には変化は無く。 右手を伸ばして、マウスを軽く動かす。 画面上の白い矢印が動いて、退室と書かれた文字の上で静止する。 マスター> ピー助 さんが退室されました。 表示された文字を確認したのか、しなかったのか。 そのまま軽くマウスを動かすと、開かれていた画面が消え、 電源を切る準備に入るパソコン。 それからようやく右手からマウスを離すと、 左手で漫画を持ったまま立ち上がる。 「おかーさん!夕御飯の買い物私も行くよー!」 バタンッと音を立ててドアが閉まると、 薄暗い部屋には静寂が訪れる。 一拍して、プチッとパソコンの画面は真っ黒になった。
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