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七時、言われた通り神社に来た。
遠くから祭りの音が聞こえてくる。
もしかして、千清はこのために……、など考えていたら下駄の音が階段の上から聞こえた。
「早く、こっちに来ないと見れなくなるから!」
上を見ると千清が手を振っていた。
僕は猛ダッシュで階段を登りきるがと呼吸が落ち着かないほど体が酸素欲していた。
「そんなに速く登って来なくても」
クスクスと微笑み千清は手を差し出した。
「さぁ、花火が始まるよ」
初めて見た浴衣姿は惚れ直すには十分だった。
「これから、一緒に花火でも何でも見ていこうね」
そういうと、僕の腕に抱き着くとトロンとした瞳を向けた。
「あなたとなら、色んな世界が見られそうだからね……」
夜空のキャンパスを埋める花火。
そんな世界で重なるシルエットの僕達は確かに今その世界の中心にいるのだ。
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