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「…ありがとう、冬堂君」
小屋の傍の水道で手を洗いながら、立花はもう一度俺に礼を言った。
「…別に。俺も飼育係だからな」
「でも、今日、冬堂君は確か委員会だったろう?遅くまで大変だね、いつも」
「…その十分遅い時間まで、入念に小屋掃除をしているとは思わなかったけどな、さすがに」
真顔で言うと、
「だって僕、動物好きだから」
と、立花はにっこり微笑んだ。その頬を、暮れなずむ夕日が赤く染め上げていく…。
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