恵 ―夕焼け―

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 ――…死ぬんだ。    死…。  暗黒の中で、ただひたすらその言葉だけが繰り返されていた。  現実か夢なのか分からない。  ただ、いつも見ている空虚な闇の夢のように、俺は…目を閉じて、心地よい浮遊感に身を委ねていた。反響する〝死〟という言葉が、次第に、闇に吸い込まれるようにして消えていく。
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