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「お前…何言って……」
俺は戸惑った。背後から見つめている結香の瞳は真剣だった。長い間一緒に過ごしてきて初めて見た強い瞳だった。
咳払いをすると、振り返って結香の瞳を見つめた。
「結香は結香だろ。俺の大切な幼馴染みだ。……異議は無いな?」
結香の強い瞳から頬に向かって一筋の雨が落ちた。
「でも……私…さいが君に迷惑かけてばかり……だから……」
あっ……自覚あったのか。
「だから…私のコト……キラっ!?」
うつ向いて泣き出しそうな結香の頬に口付けをした。短い口付けではあったが、結香のセリフを途切れさせるには十分だった。
「こんな綺麗な夜空の下で涙を流すなんて、夜空に失礼だろ」
自分で言っておいて、恥ずかしくなってくるようなセリフを口走った。
結香は両手で涙を拭うと、俺が飲んでいたコーヒー牛乳を奪い取った。……わかった。それはおごりだ。
結香はコーヒー牛乳を一口で飲み干すと、頬を赤く染めて呟いた。
「次は……唇……にね」
俺は、そんな幼馴染みに「やれやれ……」とコメントした。
……昨夜のアレは言わないでおくか。
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