榊から朝倉へ

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「伊緒璃(いおり)、彩織(さおり)から手紙来てるわよ」 ばあちゃんが帰宅したばかりのあたしに、お母さんからの手紙を差し出した。 「ありがとー…何、ばあちゃん出かけるの?」 よそゆきの格好をしたばあちゃんは、姿勢よくリビングダイニングの椅子に腰掛けていた。 「才蔵さんとお食事なのよ」 ばあちゃんは嬉しそうに笑うと、この服、派手じゃない?と聞いてきた。 ソワソワしてるばあちゃんは、「娘さん」みたいでかわいい。 「似合ってるよ」 あたしが言うと、ばあちゃんは時計を見て少し慌てた。 「いけない、時間だわ。  伊緒璃、ご飯はちゃんと食べてちょうだいね」 頷くと、ばあちゃんはちら、とあたしの手の中の手紙を見た。 何だろう?
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