榊から朝倉へ

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ばあちゃんは、仕事で海外を飛び回る娘が孫と一緒にいられない代わりにと、あたしをとても大切にしてくれる。 でも甘やかされた記憶はない。 穏やかで、でも躾には厳しいばあちゃん。 ばあちゃんのお母さんは良家の子女だったとかで、子供たちを厳しく躾けたんだって。 戦争でかなり苦労したけど、毅然としたひとだった、とばあちゃんが言ってた。 そういえば、と思い出す。 お母さんからの手紙。 久しぶりに見たお母さんの字で、表に「榊伊緒璃様」と書いてある。 裏には、もちろん「榊彩織」。 ばあちゃんにはお行儀が悪いって叱られるけど、そのばあちゃんのでがけの目線が気になって、あたしは手紙の封を切った。
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